定年まで勤めあげる事が当たり前ではなくなっている現代では、永年勤続表彰は社員の満足度を上げる意味でも大切な役割を担っています。最近はどんな記念品が選ばれているのか、今回の記事で確認しておきましょう。
永年勤続表彰というのは長年会社に勤めた社員に対して、会社が感謝の気持ちに記念品や賞与などを贈呈する制度です。現在でも永年勤続表彰を採用している会社は8割ほどと言われており、10年単位で表彰するケースが多いようですね。表彰の方法は
など企業によって様々です。最近では、カフェや宿泊施設などのような企業が提供する福利厚生サービスで使用できるポイントを贈呈するというケースも見られるようになりました。永年勤続表彰は現金や商品券以外のものを支給する場合は給与として課税しなくても良いとされていますが、いくつか条件があります。
- 表彰される人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的に妥当な金額範囲内であること。
- 勤続年数がおおむね10年以上であること
- 同じ人を2回表彰する場合には、前の表彰からおおむね5年以上の間隔があいていること
現金や商品券は課税対象になりますが、記念品の支給、旅行や観劇への招待などでは上記の条件を見たしていれば課税対象にはなりません。ただし、表彰される本人が記念品を自由に選択できる場合も、記念品の価値に相当する額が給与として課税されます。次の項目でもう少し詳しく見て行きましょう。
商品券はその券に記載されている額が給与として課税されるということになっていますが、これはポイントでの支給やカタログギフトでも同様です。これらは「商品券と同じようなもの」と見なされますので、円換算した金額に対して課税するのが妥当とされています。ポイントカードなどを支給する場合はカードの購入費用ではなく、あくまでも使用できるポイントの金額に対して課税されますので間違えないで下さいね。
少し分かりにくいのが旅行券です。旅行や観劇への招待費用を企業が負担する場合は課税対象となりませんが、旅行券を支給する場合は「商品券と同じようなもの」として課税対象になるのが原則です。
しかし、支給されてから1年以内にその旅行券を使用して旅行した場合であれば、所定の報告書に必要事項を記載し、旅行先を確認できる資料を添えて提出すれば課税する必要はないとされています。旅行券は使用せずに換金することも出来てしまうので、このようなルールが定められているのですね。
永年勤続以外にも様々な場面で登場する「金一封」の課税に対しては気になる方も多いと思いますが、これは現金支給となりますのでもちろん課税対象となります。企業から従業員へ支給する現金で課税対象にならないものには、結婚祝いのご祝儀や香典などの慶弔金が挙げられます。
永年勤続表彰は勤続10年、20年、30年といった10年単位の節目で行う場合が多く、一般的に勤続した年数が長くなるほど金額も上がっていきます。永年勤続表彰の内容はそれぞれの企業によっても異なりますが、大体の金額相場は以下のようになると言われています。
- 勤続10年 5万円以下
- 勤続20年 10万円以下
- 勤続30年 15万円以下
これは永年勤続表彰の内容が賞与(現金)のみの場合でも、賞与+記念品の場合であっても同様で、例えば勤続10年の表彰であれば4万円の賞与+1万円程度の記念品、といった感じになります。リフレッシュ休暇を付与する場合は勤続年数に応じて3日~1週間程度とすることが多いようです。
表彰の内容に応じて、全体で上記の金額相場の範囲内になるように調整すれば良いかと思います。永年勤続表彰の記念品と言えば社名入りの盾や時計などの置物を想像する方も多いと思います。「記念品なのでいつまでも形に残るものを・・・」と考えるのはむしろ自然なことだと思いますが、そのような記念品は減少傾向にあります。
現在では、表彰される社員が賞品を選択できるケースが主流となっています。長年勤めてくれた社員を労う意味合いが強い永年勤続表彰ですので、「表彰された社員が受け取って嬉しいもの」が記念品選びにおいては重視されるポイントとなっています。次の項目でもう少し詳しくお話ししますので、見て行きましょう。
永年勤続表彰で贈る記念品といえば、社名の入った置時計や盾、トロフィーなどの置物が昔からの定番でした。名入れの腕時計や万年筆を想像する方も多いと思います。しかし、現在ではこのような形に残る記念品を選ぶ企業はむしろ少数派と言えるでしょう。
実用性の低い置物などは置き場所に困るという意見が多いですし、腕時計や文房具のように実用性の高いものであれば自分好みのものを選びたいと考える人が大多数なのが現状です。最近でも記念品として贈呈された刻印入りの高級腕時計がネットオークションに売りに出されているというケースが多数見られます。
記念品を贈った企業としては残念なことですが、社員の本音がよく分かる事例ではないでしょうか。社員の立場としては、やはり自分で好きなものを選択できる方が嬉しいと感じる場合が多いようですね。
現在の永年勤続の賞品は表彰された社員が自由に選択できるものが主流となっており、具体的には商品券やカタログギフト、福利厚生施設で使用できるポイントカードなどが挙げられます。永続勤務の記念品ですので形に残るものをと考えるのはもっともな事ですが、社員の満足を重視するのであれば社員に選択の自由があるものを贈ったほうが良さそうですね。
女性向けの記念品となると、デザイン性やファッション性の高いものが良いのではと考えてしまいがちですよね。しかしここまでお話しした通り、現在は永年勤続の記念品であっても形に残るものや実用性の低いものはあまり好まれない傾向にあります。
人気が高い記念品は、やはり相手に選択の自由があるカタログギフトや商品券でしょう。贈る相手が女性なら、温泉旅行に行ける旅行券やおしゃれなレストランのお食事券なども喜んでもらえそうですね。
旅行のできる商品券やカタログギフトは家族や友人と行き先を話し合うという楽しみがある一方で、休みが取れずに行く時間がなかったという声も少なくありませんので注意が必要です。一緒にリフレッシュ休暇を付けるのも有効な方法です。
しかし、繁忙時に無理に休みを支給すると、休日でも仕事が気になってしまい結局ゆっくりできないという責任感の強い方もいるかと思います。相手が業務を気にせずに気兼ねなく休めるように、周りが配慮することも大切ですね。
どうしても形に残るものを選びたい場合であれば、実用性のあるものがおすすめです。高級な和食器やペアグラスなどを永年勤続の記念品として選ぶ企業もありますね。記念品を贈呈する際には、一緒に花束を添えれば喜んでくれる女性は多いのではないでしょうか。
永年勤続表彰で贈る記念品のランキングです。
1位 カタログギフト
表彰される相手に選択の自由があるカタログギフトが現在最も選ばれている記念品となっています。永年勤続表彰は複数の人に贈られるケースが多いので、公平性が保ちやすく相手を選ばないという点も選ばれる理由として挙げられるでしょう。
カタログギフトにも数多くの種類がありますが、グルメや旅行などに特化したものよりもバラエティに富んだジャンルの商品を選択できるものの方がよく選ばれているようです。
2位 ギフトカード・ポイントカード
商品券にも様々な種類がありますが、永年勤続表彰ではチケットタイプよりもポイント式のカードタイプが人気を集めています。カードタイプの商品券はデザインを自由に選べる場合が多いので、企業名や永年勤続表彰であることが分かるデザインにすれば、より記念品としての意味を持たせることが出来るでしょう。
最近ではインターネット上で好きな商品を選んで注文できるものや、個別の利用状況を企業で把握できるものも登場しています。従業員の満足度向上に役立つサービスが利用できるタイプで決めるのも選び方の一つでしょう。
3位 表彰盾(クリスタル系)+ 花束
表彰状・感謝状の代替商品として最近では思わず飾りたくなるよな「お洒落」なデザインのクリスタル系表彰盾もやはり人気の一角です。クリスタル素材以外にも木目系、箔押しなど花束とセットなら伝統的な品物も生きてきますね。
この場合も旅行券やカタログギフトをプラスしたパターンが多いようです。永年勤続表彰ではカタログギフト・ギフトカードに人気が集中している事がお分かりいただけるかと思います。伝統を重んじるなど特別な理由がない限りは、レトロな記念品などは避けた方がいいかもしれませんね。